公開:2016年01月03日 伊藤 みさ/更新:2016.01.03
電力自由化って?スタート前に知っておきたいポイント5つ
2015年末頃からテレビや新聞などで見かけるようになった、電力自由化(電力の小売全面自由化)。
「電気を買う業者を好きに選べるようになる」というものですが、具体的にはどんな制度なのか、どんなメリットやデメリットがあるのかなど、
電力自由化について知っておきたいポイントをまとめましたので参考にしてみてください。
電力自由化(電力の小売全面自由化)とは?
これまで家庭や商店向けに送電される電気は、各地域の政府が許可した電力会社(北海道電力・東北電力・東京電力・北陸電力・中部電力・関西電力・中国電力・四国電力・九州電力・沖縄電力)が独占的に販売していました。
引っ越ししたら、まず電気・水道・ガスをつなぎますが「どこから電気を買うか?」と悩んだことはないはず。電気を使用する場所によって、販売者が決まっていたからです。
電力自由化がスタートする2016年4月1日以降は、料金メニューの設定や契約などに、新たな事業者が自由に参入できるようになります。
様々な料金プランや、消費者の考え方に基づいて好きな事業者から電気を買うことができるのです。
2016年1月から、各事業者の料金メニューの発表・切り替えの事前受付が順次スタート。これは事業者によって発表時期も異なるためそれぞれのHPなどで確認が必要です。
電力自由化のメリットとは?
電力自由化となることで、消費者にはどんなメリットがあるのでしょうか?
まず考えられる事は、「消費者が電力会社を選べる」という事は、競争が活性化する。つまりそれぞれの企業努力によって低料金で利用できるようになる可能性があります。
たとえば、電気とガス料金/電気と携帯電話料金 と組み合わせによるセット割引が登場したり、利用料に応じたポイントサービスなども登場。
また、太陽光・風力・水力・地熱など、自然に優しい再生可能エネルギーを中心に電気供給をする会社から電気を買う事も可能に。
また、これまでやんわりとしか説明のなされていなかった「発電方法」ですが、これからは主にどんな方法で発電した電気を販売するか?を消費者に公開する事が一つのセールスポイントにもなります。
必ずしも地域の(近くの)業者から買う必要がないため、「ふるさと納税」のように、自分の故郷の事業者から電気を買う事もできます。
電力自由化のデメリット
電力自由化となることで、どのようなデメリットが発生するでしょうか。
電力自由化ガイドの藤本氏によると、電気料金は値下がりだけでなく、値上がりする場合もあるとのこと。
東日本大震災後、これまで原子力発電で作っていた電気を火力発電に切り替えているため、現在日本の電気は約9割を火力発電に頼っているのが現状です。
しかし日本には火力発電の燃料となる石油・石炭・天然ガスの資源はほとんどなく、輸入に頼っている状態。(日本のエネルギー自給率は5%)
このため、燃料の価格が海外の情勢に大きく左右されやすい。原価が上がると、電気料金が上がってしまいます。
これまでの電気料金は政府の認可制という事もあり、値上げをする場合は激しい価格変動がないように規制されていました。
電力自由化がすでに進んでいる海外でも、燃料費の高騰や天候の影響で料金が値上がりした例もあることから、これまで以上に価格のふり幅が大きくなることも予想できます。
また、契約する会社のサービスや安定力などについても、詳しく比較する必要が出てきそうです。
電力会社を切り替えるために必要なモノ
電力会社の切り替えの手順は以下。
- 切り替える電力会社に申込み
- スマートメーターへの交換(通信機能を持ち、電気の使用量を遠隔で検針したりできる新しい電気メーターを設置する必要がある)
- 2016年4月以降から利用が可能に(切り替え日は個別の契約によって異なる)
これに伴い、現在の電力会社名/お客様番号/供給地点特定番号 を切り替え先に連絡する必要があります。これらは毎月の検針後にお知らせされる「検針票」に記される事となっているため、切り替えの検討をされる方は捨てずにとっておきましょう。
現在登録されている電気事業者と、電力自由化についてまとめ
電気を販売する「登録小売電気事業者」は、資源エネルギー庁のホームページにて一覧が公開されています。各会社のホームページリンクもあるので、ここからチェックすると効率的です。
電力自由化で、選べるようになるのは魅力的ですが、その会社は停電しやすくないか?料金は急激に上がらないか?などの不安もついてきます。
ですが、電気を買う会社を選べるようになっても、日本では「安定した電力供給」に重きを置かれているため、電気の品質や停電の可能性は変わらないそう。
例え契約した電力会社が発電をストップしても、消費者にはちゃんと電気が届くように、これまで電力供給を行ってきたところがカバーする仕組みも取られているようです。
また、消費者保護のために競争が十分に進展するまでの間(少なくとも2020年3月まで)は、現在の政府の規制を受けた料金メニューも各地域の電力会社から引き続き提供されます。
あわてて切り替えを行うより、長い目で見ながら比較・検討するとよさそうです。
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