公開:2015年10月08日 伊藤 みさ/更新:2023.10.18
下関に、カメだらけの「お亀明神」と「お亀イチョウ」!亀山八幡宮
山口県下関市、唐戸市場の横に大きな石造りの白い鳥居を持つ「亀山八幡宮」があります。
下関市の中心部にあるこの神社は、「文化殖産の神様」として日本に漢字を広めた応神天皇を祀っているほか、仲哀天皇・神功皇后・仁徳天皇も祀られており、多くの参拝者が訪れています。
その亀山八幡宮の本殿の横にある駐車場の真ん中に、小さな神社が。巨大なイチョウの木に包みこまれるように小さな祠(ほこら)も見えます。
何だろう…?と近寄っていくと、それは “お亀明神”。祠の前には小さな池と橋があり、池にはたくさんの亀たちが日向ぼっこをしていました。
お亀明神で暮らす亀たち
亀たちに動きはあまりなく、とっても静かなので気づきにくいですが、けっこうな数の亀が石の上でくつろいだり泳いだりして、のんびり過ごしています。
また、祠の後ろには立派なイチョウの木が。古い木のようでかなりの大きさ。紅葉の時期はすべての葉が黄金色に染まって、とても綺麗なんじゃないでしょうか!
境内をぐるりと見渡すと、下関名物のフグをモチーフにした巨大像やふぐのお守り、絵馬がたくさん。
その他、神社の名前にもなっている「亀」モチーフのものもたくさん見かけました。
亀山八幡宮の中の「お亀明神」、亀だらけの神社のワケ
地元では「関の氏神さま」「亀山さま」と親しまれている亀山八幡宮。この場所は昔、島だったのだそう。
島の形が亀に似ている事などから「亀山」と呼ばれ、これが神社の名に反映されたようです。また、亀がいた「お亀明神」には以下のような由緒があるそうです。
神社地は古くは島でしたが、江戸時代の始め頃、毛利藩によって街の発展のために陸続きにする埋め立て工事がおこされました。
しかし海峡の潮の流れは、ひと岩沈めればひと岩を流す急潮であり、工事は多大の工費と、人の命を犠牲にするのみでなかなか成し遂げられませんでした。
時に、江戸の「吉原」・京の「島原」につぐ三大遊廓の一つであった稲荷町(現・赤間町)の、疱瘡を病み顔に「アバタ」のあるお亀という遊女が、町かどに立った人柱募集の高札を見て、「我が身を滅して功あるならば」と人柱に立ち、月夜の海に白衣に身をつつみ、海に身を投じて埋立の礎石となりました。
via.亀山八幡宮
今では埋め立て工事は一般的ですが、昔は島を陸続きにする工事は大変な労力と事故によって、人の犠牲が出ていたよう。
この事に対して “神の怒りに触れた”とおののいた人々は、人柱(神へのいけにえ)や、それに代わる石を沈める…という行為を、各地で行っていたようです。
お亀明神やお亀銀杏は、町の発展のために自ら犠牲となった遊女「お亀」さんの功績をたたえて、当時の人は亀山八幡宮の境内にイチョウの木を植えたもの。
大きくなったイチョウの木からは毎年秋に無数のギンナンがなるそうですが、その実には不思議と多くの斑点があり、これは“お亀さんの顔のあばた” が残ったものだと信じられ、疫病除けのお守りとして求められる事もあったようです。
名称 | 亀山八幡宮 |
---|---|
住所 | 山口県下関市中之町1-1(地図) |
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